2018-06-17

サルタヒコの謎を解く

『サルタヒコの謎を解く』

面白かった。
古事記や日本書紀における天孫降臨の場面に突如として登場してアマテラスなどの主要な神々を退けるという圧倒的な存在感を放ち、それ以外には記述がない異形の神猿田彦。
その由来や各地に残る猿田彦信仰、古代の信仰の在り方について紐解く奇書。

サルタヒコについてはその異様さを強調したり、オカルト的な解明に偏った書冊もあるけれど、本書は現在まで続く各地の祭りや芸能に残る神話、地名の名残りからその事態に迫る。
宗派宗教や経典宗教ではない、古代神道の信仰のおおらかさが感じられる一冊だと思う。



サルタヒコの謎を解く
藤井 耕一郎 著
河出書房新社 2015/10
目次
プロローグ 入れ替えられた神と怪物
第1章 サルタヒコとアメノウズメの“にらみ合い”
第2章 サルタヒコが住んでいたサナダとはどこか
第3章 サナギと呼ばれた銅鐸はなぜ消滅したのか
第4章 仮面をかぶって舞い踊った漁撈民の“神懸り”
第5章 遠賀川と津軽平野をつなぐ“オカメ”の道
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2018-05-01

人生は一冊のノートにまとめなさい


人生は1冊のノートにまとめなさい―体験を自分化する「100円ノート」ライフログ

ノート術について見直してみようと何冊か類書をさらったのだけど、今の自分にしっくりと来たものをメモ。
「ライフログ」の効用について書かれたもので、題名から想起されるような自己啓発的な要素は薄いので安心。
ありきたりな内容が多いと思うかは読み方次第だと思う。既に類書を読んでいる人なら、ざっくりとさらい読みしながら気になった部分を読み進めると新たな見方や気付きが得られる部分もあるのではないか。

著者は『情報は1冊のノートにまとめなさい』という書籍も書いているけれど、本書は同じテーマで、その延長ともいえる一冊。
どちらから読んでも構わないと思う。

書評の「まとめ」もあった。
「人生は1冊のノートにまとめなさい」の書評・体験
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2018-04-10

市図

正月に借り始めてから、市立図書館の返却と貸出が途切れずに続いている。
2週間に10冊のペース、ほとんど読まずに返す本もあるけど、県立図書館や大学図書館で借りる本も含めると6,70冊は読んだことになるだろうか。今回は暇つぶし寄りの勉強本も選択。


EVERNOTE「超」仕事術


「伝わるデザイン」 PowerPoint 資料作成術
スライドだけでなく配布資料も含めたBefore & Afterの作例集。細かいデザインについては流行り廃りもあるし向き不向きもあるだろうけど、どうすれば分かりやすい資料になるのか、苦手意識がある人には参考になる一冊だと思う。


エンジニアのためのPowerPoint再入門講座 伝えたいことが確実に届く“硬派な資料”の作り方
「見栄え重視」ではなく「硬派な資料」を作るためのノウハウ集。他の書籍には乗っていない様な情報(スライドマスターや「配色」の使い方など)もあるから読んで損はないけど、あくまで「資料用」なので、いわゆるプレゼン用のノウハウだと思って読むと間違いを犯すかもしれない。その他は前記と同様。

ところで、現在はWordよりもPowerPointで会議資料を作る人の方が多いんでしょうか。
(レイアウトの編集はPowerPointの方が楽だけど、情報の再利用という意味では不便な印象)
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2018-03-08

みんなの映画100選

不思議な装丁で、添えられた素朴なイラストが楽しい一冊。
誤字や誤訳も気になったけど、印象的だったセリフをメモ。


盗んだの秘密を持ちたかったから。なぜかわからないけどとても気分が良くなるの。
I think I just took them to have a secret to keep. Anyway, for some reason, it makes me feel in a better mood sometimes.
 "Moonrise Kingdom"

言葉を使わなければ、私たちはもっと自由に自分自身を表現できるんじゃないかしら。やってみない?
Maybe we could express ourselfs move freely if we say it without words. Should we say?
 "Darjeeling Express"

世間に冷たい目で見られるだろうな。だけど、彼らが冷たく見ない日なんてあったか?
Still frowned upon. But then, what isn't these days, right?
 "Royal T"



みんなの映画100選
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2018-03-01

手帳選び

今年の一月は、名刺サイズのミニ手帳やB5ノートタイプのカレンダーを併用することとしたのだけど、GTDとかのハック本を読んでるうちにフルサイズの手帳もあった方が良いという気分に。丁度、4月始まりの手帳が売られている時期でもあるので、図書館から借りてきた書籍で検討することにした。

超メモ術 ―ヒットを生み出す7つの習慣とメソッド (玄光社MOOK)


手帳活用パーフェクトBOOK


手帳200%活用ブック

これまでの手帳の役割というと、シンプルな予定の確認、家計簿、メモ、一行日記など。詳細なスケジュール調整が必要な日程はほとんどないのでシンプルな週間レフトで間に合っていたのだけど、自分自身で課題設定してタスク管理をすることを考えると、むしろ自由な予定が多いからこそ週間バーティカルが必要なのではないかと思い始めている。
そうなってくると、書き込むスぺ―スは広ければ広いほど良いし、フリースペースも十分に欲しいし、土日の欄も均等にあった方が良かったり。色々検討し始めると、どの手帳も一長一短で迷うところ。

最近はオリジナルの手帳を作れるサービスもあるそうだけど、まずは手軽に実現できる方法を探してみたいと思う。
 cf. 【ネットde手帳工房】なら - 思い通りのワタシメイド手帳作成‎
   1マイ手帳 | カンミ堂
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2018-02-22

フォントのふしぎ、リーガルパッド

久し振りの通院日。異常なし。
検査結果も安定してきたので次回からは半年に一回で良いとのこと。

待合時間中、前にも図書館で借りたことのあるこの本を再読した。

『フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?』
小林 章 (著)

ドイツ在住の日本人フォントデザイナーが、街中で撮影した写真と共にフォントにまつわるトリビアやデザインの工夫を解き明かす一冊。
例えば、LOUIS VUITTONとDOLCE & GABBANAは同じFuturaというフォントだけど、前者が時間を広くとって古代の石碑文字の様な格調を表現しているのに対し、後者は字間をぎりぎりまで詰めることでモダンさを演出しているとか。ブロガーらしい平易な文章が読みやすいし、フォントだけでなくデザイン全般に興味がある人にも面白い一冊だと思う。
cf. デザインの現場 小林章の「タイプディレクターの眼」 - エキサイトブログ

なぜ再読したかというと、そろそろアプリ・デヴェロッパーとしてのロゴをちゃんと作り直そうとか、いわゆるコーポ―レート・フォントというのも決めようと思ったから。いまのところ、Helveticaが最有力なものの、個性を追求すべきか、Web上での利用しやすさはどうか、そもそも社名を変更すべきかと諸々悩ましいところ。


帰宅すると、注文しておいたリーガルパッド10冊パックが届いていた。
アメリカに短期留学した時はいつもこれを使っていたのだけど、帰国後は手頃なものが見つからず、専用のパッドホルダーも死蔵状態になっていたもの。並行輸入品がAmazonでも手軽に入手できるのは有り難い。

表紙の紙さえない質実さが渋いレターサイズのライティングパッド。
A4サイズよりもごくわずかに短く、幅広で、他の書類と見分けがつきやすい黄色になっているのがポイント。
(ちなみにポストイットが黄色いのも同様の理由だそう)
A4クリアファイルにもぴったりと収まり、勿論、マニラフォルダとの相性も抜群。
今後はこれを活用して改良版のGTDを進めていく予定。



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2018-02-01

SAXOPHONE MEETS GUITAR

ここ数年、教則本の類は読まない、というか楽器自体手に取らなくなっていたのだけど、最近、気分転換の演奏を再開したのと、図書館でタイミング良く出会って面白うそうだと思ったので借りてきた本。

他の楽器のプレイを参考にしなさいというのはよく聞くアドバイスだけど、丸ごと一冊がそれについて書かれた本は珍しい。
有名サキソフォニストの特徴的なフレーズをギターのTAB譜に置き換え、移動譜や解説を付した内容。
「ジャズ編」となっているけど、ファンク系やブルース系など周辺ジャンルのプレーヤーも幅広く扱っているのがうれしい。


サックスに学ぶおいしいギター・フレーズ99+2 ジャズ編 ギタリストが思いつけない音の組み立て方 (CD付き)

まだ少ししか試していないけど、いわゆるギタリスト的な発想では出てこないような音遣いがなんとも楽しい。
一つ一つのフレーズを完コピして手クセを増やすというより、マイナスワンのバッキングトラックをリピート再生しながらフレーズをこねくり回してエッセンスを掴み、自分のフレーバーに取り込んでいくといった使い方が向いていると思う。


「ジャズ編」ということは他のジャンルのバージョンも出版されるのかもしれないけど、トランペットやトロンボーンといった他の楽器バージョンの「ジャズ編」も読んでみたい。

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2018-01-21

GARY GYGAX and the Birth of DUNGEONS and DRAGONS

ゲームデザイナーGARY GYGAXの生涯と、彼の最大の作品にして世界初のテーブルトークRPGとなった"DUNGEONS and DRAGONS"の誕生を描いた伝記。
前書きにもあるように、ウォルト・ディズニーやスティーブ・ジョブズほどに有名でもなければ、社会的に大成功したともいえないけれど、現在の文化に影響を与えた功績でいえばあまたの偉人に勝るとも劣らない人物。全てを作り、全てを奪われた男。

人物史や経営史としての側面が強いので、純粋なゲームファンが読んでも楽しめる部分は少ないかもしれないけれど、ゲイリーが二人の子供と最初のテストプレイを行う描写はこの上なく美しいし、想像力が世界を作り出す過程も興味深い。
ナードらしいダメ要素をことごとく兼ね備えたゲイリーだけれど、一つ、見習うべきと思ったのは「書く気が起きたら後回しにしない」ポリシー。僕も今まで知りたいことや読みたい本については「どんな状況でも後回しにしない」というのをポリシーとしてきたけど、そろそろ出力を重視しなければいけないと思う。
「ミューズがやってきたら、すごい勢いでやってしまわなければいけない」のだ。


『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』
マイケル・ウィットワー (著),‎ 加藤 諒 (編集),‎ 柳田真坂樹 (翻訳),‎ 桂令夫 (翻訳)
2016/6/30


P.S.
ジョブズやノーベル賞を受賞した研究者を引き合いに出して、日本ではクリエイターが報われない社会だということが問題視されることがあるけど、この手の伝記物の常として、ゲイリーの後半生が不毛なマネーゲームや法廷闘争に費やされているのを読むと考えさせれるものがあった。
偉大な創造主の制作の機会が奪われただけでなく、TSR社が市場にライバル商品を増やさないという戦略の為だけに後発商品の版権を買い取り、飼い殺しのまま死蔵させてきたこと(その中には追放されたゲイリーの作品も含まれる)はアメリカ文化の大きな損失だったと思う。
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