2020-10-15

きっと、うまくいく

しそんぬのカレー屋コントで登場していたインド映画。
幾つもの賞を取ったり、界隈では評判になっていたようで確かに面白かった。
3時間もの長尺に、普通の映画なら3,4本取れそうな筋書きとアイデアが詰まっていたり、インド映画らしく歌と踊りも盛りだくさん。

出だしからラストまで妙に既視感を感じてしまったのだけど、最後まで見終えて腑に落ちた。
ニューエイジともXジェネレーションとも違う、この独特の感触は『ブレックファスト・クラブ』や『セント・エルモス・ファイアー』に代表される1980年代のハリウッド青春映画、いわゆる「ブラット・パック(Brat Pack)」物ではないだろうか?

痛快なコメディ映画だけれど、世界有数のインドの若者の自殺率の高さといった社会問題にも踏み込んだ作品。
工科大学、寮生活、学生の自殺など、最近の自分にも関わりのある事柄が多くて身につまされてしまったけれど、下品で攻撃的なユーモアにも耐性がある人なら広く楽しめる作品だと思う。



『きっと、うまくいく』
3 IDIOTS

インド 2009
監督 ラージクマール・ヒラーニ
脚本 ラージクマール・ヒラーニ
   ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー
   アビジャート・ジョーシー
原作 Chetan Bhagat『Five Point Someone』
製作 ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー
出演 アーミル・カーン
   R・マドハヴァン
   シャルマン・ジョーシー
   ボーマン・イラニ
   カリーナ・カプール
   オミ・ヴァイディア
音楽 シャンタヌー・モイトラー
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2020-01-24

SAMBA

彼が名乗ると、誰もが聞き返す。その名はサンバ、でもダンスは踊れない。フランスに来て10年のサンバに、国外退去命令が出ていたことが発覚する。職場を追われ、表立ってはこの国にいられないサンバは、移民を支援する協会のボランティアのアリスと出会う。心が折れて大手企業を休職中のアリスと、人を幸せな気持ちにするのが得意なサンバ。周囲の個性的な人々も巻き込んで、二人の風変わりな関係が始まった──。

『最強のふたり』の監督二人と主演のオマール・シーが再びタッグを組んだ作品。
「燃え尽き症候群」と「移民問題」という重くなりそうなテーマだけれど、コメディ・リリーフとしてのタハール・ラヒムが危うさの中にも明るさを感じさせ、最後まで楽しく観ることが出来た。

以下ネタバレ。
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印象的だったのは、中盤、ブラジル人を自称するウィルソンが、実は主人公と同じアフリカ人だったとが明らかになった場面。
確かに演じているラヒムはラテン系のようにも見えるけれど、実際、彼の両親はアルジェリア移民。移民同士の間にも序列があり、外見だけでは分からない差別があるという問題の複雑さを感じた。

リアリティを描きながら、ラストは唐突に寓話的なエピソードの急展開で終わるのがフランス的。
「ああ無情」や「髪結いの亭主」、ボーブの「僕のともだち」もそうだったけど、運河や水路に飛び込んで終わるというのはある種の定型なんだろうか?




『サンバ』
SAMBA

2014年 フランス
監督  オリヴィエ・ナカシュ、 エリック・トレダノ
音楽  ルドヴィコ・エイナウディ
出演 Omar Sy
   Charlotte Gainsbourg
   Tahar Rahim
   Izïa Higelin
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2018-06-04

Valerian and the City of a Thousand Planets

古き良きスペース・オペラとバンド・デシネの雰囲気を上手く混ぜ合わせたような映画。
好き嫌いな分かれるだろうけど、なによりギャバンやシャリバンと同じ「宇宙刑事」(?)のバディものときたら好きにならないわけにはいかない。

原作は監督のリュック・ベッソンが子供の頃から大好きな作品で、これまでの作品は予算の獲得や技術の発展を待つためのものだったというほどだ。
しかし、「全体的な興行は大失敗で1憶3500万ドルの損失を計上したとして、ヨーロッパ・コープのCEOが2017年をもって退任という事態を招き、新たなCEOとしてリュック・ベッソンが就任することとなった」とのこと。
CEOが引責して、その監督が次のCEOとは不思議な感じ。

なんの予備知識もなく突然、ハービー・ハンコックが画面に表れた時は思わず笑ってしまいました。


Valerian and the City of a Thousand Planets
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

フランス 中国 アメリカ UAE ドイツ 2017年
監督 リュック・ベッソン
脚本 リュック・ベッソン
原作
 ピエール・クリスタン(英語版)
 ジャン=クロード・メジエール
 『ヴァレリアンとローレリーヌ』(漫画)
製作
 リュック・ベッソン
 ヴィルジニー・ベッソン=シラ(英語版)
製作総指揮
 マーク・ギャオ
 ジン・ドン
 グレゴリー・ウェノン
 JC・チェン
出演
 デイン・デハーン
 カーラ・デルヴィーニュ
 クライヴ・オーウェン
 リアーナ
 イーサン・ホーク
 ハービー・ハンコック
 クリス・ウー
 ルトガー・ハウアー
音楽 アレクサンドル・デスプラ
撮影 ティエリー・アルボガスト
編集 ジュリアン・レイ


ジャズメンのハービーが出演してるのは関係ないんだろうけど、ジャズ的な音楽も上手く使われており、カーラ・デルヴィーニュが歌う主題歌はなんだか癖になる楽曲だった。
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Pacific Rim: Uprising



前作の重厚なインパクトに比べると軽快なアクション映画という感じだけど、面白かった。

Pacific Rim: Uprising
『パシフィック・リム:アップライジング』

アメリカ 2018年
監督 ティーヴン・S・デナイト
脚本
 エミリー・カーマイケル(英語版)
 キラ・スナイダー
 スティーヴン・S・デナイト
 T・S・ノーリン(英語版)
原案
 スティーヴン・S・デナイト
 T・S・ノーリン
原作 キャラクター創造
 トラヴィス・ビーチャム
製作
 ジョン・ボイエガ
 ケイル・ボイター
 ギレルモ・デル・トロ
 ジョン・ジャシュニ
 フェミ・オーガンズ
 メアリー・ペアレント
 トーマス・タル
出演
 ジョン・ボイエガ
 スコット・イーストウッド
 ジン・ティエン
 ケイリー・スピーニー
 菊地凛子
 バーン・ゴーマン
 アドリア・アルホナ
 マックス・チャン
 チャーリー・デイ
音楽 ローン・バルフェ
撮影 ダン・ミンデル
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2018-06-03

Whiplash

自宅作業日。合間にAmazonプライムで『セッション』を鑑賞した。

アカデミー賞3部門受賞し、猛特訓した役者本人の演奏でも話題になった作品。
パワハラやスパルタ教育がニュースになるたびに話題に取り上げられるけれど、製作者はそうしたものを肯定的に描いてるわけでもなく、物語全体も無駄をそぎ落としたドライな印象。しかるに多義的な解釈が可能なのは、アカデミーに好まれそうな作品の特徴なのだろう。
原題は劇中演奏曲と同名の「Whiplash(むち打ち)」。
結末は、曲がりなりにもジャズを弾いていた自分としてはそれ以外ないだろうと思うくらい予想通りの流れだったけど、存外、意外性を持って受け止めた人も多かったようだ。

ところで、冒頭、主人公が父親と二人で観ていた映画が『男の争い (DU RIFIFI CHEZ LES HOMMES/RIFIFI)』だったのは、なにか隠喩があるのだろうか。

Whiplash
『セッション』

アメリカ 2014年
監督 デミアン・チャゼル
脚本 デミアン・チャゼル
製作
 ジェイソン・ブラム
 ヘレン・エスタブルック
 ミシェル・リトヴァク
 デヴィッド・ランカスター
製作総指揮
 ジェイソン・ライトマン
 コウパー・サミュエルソン
 ゲイリー・マイケル・ウォルターズ
出演
 マイルズ・テラー
 J・K・シモンズ
音楽 ジャスティン・ハーウィッツ
撮影 シャロン・メール
編集 トム・クロス
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2018-05-26

セトウツミ

レビューに「つまらなくはない」というタイトルのものがあって、たしかにそうだと思った。
川辺に座った高校生セトとウツミふたりの会話劇、というかただ駄弁っているだけで進んでいく映画。池松壮亮は苦手意識のある俳優だったけど、嫌味になりがちなシーンも不思議とそうならず。関西弁も自然に聞けた。自分の高校時代もこんなだったと懐かしく思い出したというのもある。なぜかBGMがアコーディオン入りの室内4重奏なのも良かった。
否、とても面白い映画だと思う。


『セトウツミ』
2016年 日本
監督 大森立嗣
脚本 大森立嗣
原作 此元和津也『セトウツミ』
製作
宮崎大
近藤貴彦
製作総指揮 泉英次
出演
池松壮亮
菅田将暉
中条あやみ
音楽 平本正宏
撮影 高木風太
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2018-04-07

Gods of Egypt

ラズベリー賞で5部門ノミネートし、いずれも受賞を逃した作品。
新方式の3D映画が流行しだしてから量産されている、CGを駆使した古代神話が舞台の大作風映画。なんだけど、ヘリオポリス神話を元に完全な全知全能の超越者ではない、人間より優れた種族としての神々を描いた点は風変わりで面白かった。神々の立ち位置としてはマーベルの『マイティ・ソー』あたりと似ているかもしれない。
酷く疲れている時とか、小難しいことは忘れて単純で壮大な話が観たい時にはお勧めの映画。
(つまり僕は疲れていたのだ)


Gods of Egypt
『キング・オブ・エジプト』

アメリカ 2016年
監督 アレックス・プロヤス
脚本
 マット・サザマ
 バーク・シャープレス
製作
 ベイジル・イバニク
 アレックス・プロヤス
製作総指揮
 スティーヴン・ジョーンズ
 トファー・ダウ
 ケント・クベナ
出演
 ニコライ・コスター=ワルドー
 ブレントン・スウェイツ
 チャドウィック・ボーズマン
 エロディ・ユン
 コートニー・イートン
 ジェラルド・バトラー
 ジェフリー・ラッシュ
音楽 マルコ・ベルトラミ
撮影 ピーター・メンジース・ジュニア
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2018-04-06

Donnie Darko

マサチューセッツ州ミドルセックス。ドニー・ダーコ17歳。飛行機のエンジンが家に落ちて以来、彼の前に銀色のウサギが現れる。ウサギが告げる[28:06:42:12]、転校生の美少女、ホーキング博士、地下室の扉…。彼をとりかこむ全てが「あのこと」を告げている。28日後の世界で彼を待っているのは一体何なのか?


オープニングの途中で、昔、VHSのテープを借りて観た映画だったことに気づく。
友人が帰省した冬休み。一日中部屋にいて、日付が変わった頃にビデオ屋と24時間スーパーに行くのを繰り返していた学生時代。そこで知り合った女の子。あの時貸した本はまだ貸したままだったなとか、そんなことを思い出した。


Donnie Darko
『ドニー・ダーコ』

アメリカ 2001年
監督 リチャード・ケリー
出演
 ジェイク・ギレンホール
 ジェナ・マローン
 ドリュー・バリモア
 メアリ・マクドネル
 キャサリン・ロス
 パトリック・スウェイジ
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